ドローンの法律「航空法」と飛行のルールと規制
ドローンの魅力は、人が容易に行けない場所で撮影できることです。
空撮や、測量、点検など、その可能性は広く活用されていくでしょう。「それじゃあ、ちょっとやってみようかな」と軽い気持ちで始めようと思ってしまいます。
しかし、ドローンには飛行可能エリアなど細かい規制があり、飛行前に申請が必要です。
飛行に許可申請が必要となるドローンとは?
ドローンは法律上「無人航空機」に分類され、航空法によりルールが設定されました。
ドローンとは?
|
これに当てはまる物を飛行させるには、国土交通省に申請し、規制やルールを守らなければいけません。
一般的にトイドローン、ホビードローンと呼ばれる100g(電池を含む)の機体はこの法律では規制されません。
ドローンの法律「航空法」による規制
無人航空機(ドローン、ラジコン機等)の安全な飛行のためのガイドライン(国土交通省 航空局)より
(A)地上または水面から150m以上の空域
地上または水面から150m以上の空域も飛行禁止空域になります。
(B)空港周辺の空域
空港周辺の空域を飛行させる場合、国土交通省や空港事務局に許可申請を行る必要があります。「空港付近」の範囲は、空港によって、6キロメートル以内、24キロメートル以内などに設定されています。
(C)人口集中地区
人口集中地区(DID)上空も、ドローン撮影することはできません。
ドローンの飛行ルール
この飛行ルールで禁止されている飛行を行う場合には、撮影許可とは別に承認申請を行わなければいけません。ドローンの飛行ルールをチェックしましょう。
1.日中の飛行-日中から日没までに飛行させること
ここでいう「日中」とは、国立天文台が発表する日の出の時刻から日の入りの時刻までの間になります。
2.目視内飛行‐肉眼による目視範囲内でドローンと周辺を常時監視して飛行させること
目視内飛行とは、飛行させるパイロットが肉眼で常時監視できる状態のことを指します。双眼鏡や補助者による監視は含みません。
3.距離の確保‐人や物から30m以上距離を保って飛行させること
物には自動車や建物が含まれますが、土地や樹木などの自然物は含まりません。
4.催し場での飛行禁止‐イベントやお祭りなど人の集まる催しの上空では飛行させないこと
特定の日時や場所に多数の者が集まる場合、それは催し場として認識され、ドローンの飛行は制限されます。
5.危険物輸送の禁止・爆発物などの危険物を輸送しないこと
火薬類や高圧ガス、引火性の液体や可燃性物質を「危険物」として、ドローンで輸送することは禁止されています。
6.物件投下の禁止‐ドローンから物件を落下させないこと
物体には農薬なども含まれますので、液体類も物体に入ります。例外として物体を投下ではなく「置く」のであればこの規制には該当しません。
その他の法律と規制
国土交通省が定めた法律、飛行のルールのほかに、警察庁、道路交通法など法律、規制、ルールがあります。
土地、地域、場所により、管理者がそれぞれ異なりますので、必ず飛行させる場所の管理者を確認して確認をとってから飛行させることが大切です。
- 「小型無人機等飛行禁止法」による重要施設上空の規制
- 「道路交通法」による道路上空の規制
- 「民法」により私有地上空の規制
- 公園・史跡など地域条例による規制
- 川・海・新幹線の上空など
ドローン撮影の許可申請の方法
では、ここからは実際にドローン撮影の許可申請の方法について説明します。国土交通省にドローン撮影の許可を取る方法は、2通りあり、現在ではオンラインによる申請が一般的です。
どちらも10営業日前までの期日がかかります。例外として、
- 公共性が高いもの
- 災害時などの人道的な支援
の場合、メールやFAXでの申請が可能です。
国土交通省に申請する方法
郵送や国土交通省申請窓口に持参する方法は、あまりおすすめできません。
なぜなら、申請書類は1度で通過することはほとんどなく、何度も訂正を繰り返すのが一般的です。訂正の度に郵送を繰り返すと、余計な時間や費用がかかってしまうからです。
オンラインでの申請が不可能な場合、申請書類を書いて国土交通省まで送りましょう。
オンラインによる許可申請
国土交通省のオンライン申請システム(DIPS)は、時間がかからず訂正もスムーズに行えます。
やり方も簡単ですので、ドローンの飛行許可を取得するなら、こちらが一般的です。
DIPSでの申請の流れ
- DIPSにアクセス、新規登録をする
- 登録したIDとパスワードでログイン
- ログインしたら無人航空機情報の登録・変更へ
- ホームページ掲載機かどうかを選択します
- 機体情報を入力していき、登録します
- 次に操縦者情報の登録を行います
- ホームページ掲載団体技能認証のありなしを選びます
- 操縦者情報を入力していき、登録します
- 申請書の作成(新規)をクリックします
- 質問に答えていきます、実績の欄でドローンは回転翼航空機になります
- 申請書を作成していきます、難しく考えることなく質問に答えていきましょう
- 最後まで質問に答えていくと終了です
申請をすると、書類に不備があった場合、メールで訂正の依頼が来ます。再度DIPSにログインし、訂正指示の通りに入力していきましょう。
個別申請と包括申請
ドローン撮影の許可申請には、2種類あります。それは「個別申請」と「包括申請」となっております。特徴はそれぞれ次の通りです。
- 個別申請:期日と飛行経路を申請して1回の飛行ごとに許可をとる方法
- 包括申請:飛行経路を指定せずにまとめて許可をとる方法
理由なき包括申請は許可がおりないこともあり、本当に期日と経路が指定できないのかを見極めて申請しなければいけません。
包括申請に適しているのは、夜間飛行や人口密集地での空撮、自然災害などのドローン撮影です。
ドローン撮影を多く手掛けているカメラマンは、同じ場所で複数回に分けて撮影を行うことも多いため、経路や期日がはっきりする前に包括申請を提出していきます。
ただし、包括申請取得後は、3か月に1回、飛行実績を国土交通省に報告することになっています。「いつ、どこで」ドローン撮影をしたか、は細かく報告する義務があるので注意しましょう。
逆に、期日が指定されているイベントなどのドローン撮影は、個別申請でなければ、申請が許可されないこともあります。
許可申請に必要な費用
ドローン撮影の許可申請に必要な費用はありません。
無料で申請できます。申請書を郵送する場合は、発送費用、許可書を郵送してもらう場合は返信費用が必要です。そのほかには、申請書類の印刷費用などがかかります。
行政書士に依頼する場合
行政書士に代行申請してもらうことも可能です。
公的な書類作成や修正が苦手な人や、時間がない人にとって、「確実に」「短期間で」許可が取得できることは間違いありません。国土交通省など、窓口とのやりとりもスムーズに代行してくれます。
ドローン許可申請に必要な書類一覧
ドローン撮影の許可には、いくつかの書類作成が必要です。書類は大きく分けて3つ。
- 飛行の目的
- 飛行させるドローンについての情報
- ドローン操縦者についての情報
です。これを別添資料として、飛行経路が分かる地図、ドローンの機体に関する資料、操縦者の飛行実績、飛行マニュアルなどを添付します。
いずれも国土交通省のホームページに様式と記入例があるので、しっかり確認して作成しましょう。
ドローンの撮影許可を得るのに必要な情報
ドローンの撮影許可を得るためには、いくつかのポイントがあります。
ここでは、そのポイントについて解説していきます。郵送でもDIPSでも使えるので、記入する時の参考にしてみてください。
「飛行の目的・場所」を明確に
ドローン撮影の申請許可の際に問われるのは、「どこで」「なぜ」ドローンを飛行させるのか、安全な飛行が保証されているか、です。
申請書に記載するときには、それらの条件が明確にできるよう、事前に、詳細を決めておきましょう。
申請書に記載する事項は、具体的で詳細でなければ申請許可はおりません。あいまいな事項があれば、修正を繰り返すことになり、撮影予定に間に合わなくなる可能性があります。
包括申請では、だいたいのエリアを指定しますが、個別申請の場合の飛行経路は、地図を添付し、飛行場所が特定できるようにする必要があります。
周囲に何があるかわかる程度の広域地図と拡大地図が必要です。国土地理院の地理院地図をスクリーンショットなどでキャプチャーし、申請書に張り付けて経路を書き込むといいでしょう。海抜高度なども、国土地理院の地理院地図で確認できます。
「ドローンに関する情報・機体・製造者・設計図」
続いて、ドローンに関する情報を記載していきます。どんな機体なのか、製造者や名称、重量、設計図などが必要です。機能や性能に関する資料などの添付資料と共に、詳細を記入します。機体の写真などを求められることもあります。
空港近くや高度150メートル以上を飛行させる場合、人口集中地区から30メートル未満で飛行させる場合などは、プロペラガードや灯火、GPSなど決められた追加基準に適合しているかも記載します。
ドローンの機体に関する資料作成は、指定された一部の会社のドローンを使用する場合は省略できます。撮影に使用するドローンが該当しているかどうか、国土交通省のホームページで確認してみましょう。
「操縦者についての情報」資格・技能証明書
ドローン撮影時に、実際にドローンを操縦する人を一覧にします。どんなドローンを操縦するのか、民間の資格などを取得しているか、などを記載します。
各操縦者については、飛行経験や知識、能力などが一定基準以上であるかを記載します。夜間飛行や目視外飛行の承認を同時に行う場合は、それぞれの条件下での飛行経験についても記載が必要です。
ドローン撮影を行う場合には、少なくとも10時間以上の飛行経験が必要となっています。練習を重ねて規定の飛行時間をクリアしておくようにしましょう。
指定されたドローンの講習会を終了していたり、技能証明書の交付を受けていたりする場合は、操縦者の情報が不要な場合があります。国土交通省のホームページには、指定された団体の一覧も記載されたいますので、確認してみましょう。
「航空局標準マニュアル」の作成
ドローン撮影時の安全確保を証明するものとして重要なのが「飛行マニュアル」です。マニュアルは添付資料として申請時に必要になります。
飛行マニュアルは「航空局標準マニュアル」を利用する場合と、独自で作成したマニュアルを利用する場合の2パターンがあります。個別申請用と包括申請用に分けて標準マニュアルが公開されていますので、申請時の飛行条件にあっていれば利用することができます。
ただし、観光施設など第三者の上空で飛行させる場合や、物を吊り下げたりする飛行の場合は、独自マニュアルの作成が必要です。標準マニュアルなども参考にしながら、安全確保のための体制を記載しましょう。
飛行マニュアルに記載するのは、「ドローンの点検・整備について」「操縦者の訓練について」「安全な飛行を確保するための体制について」の3つです。
特に、安全な飛行確保のための体制は、非常時を想定した対応策の記載が必要です。飛行条件にあわせて、記載するようにしましょう。
警察や自治体に提出する書類もある
ドローン撮影を行う場所によっては、警察や自治体に許可申請を提出しなければならないこともあります。道路で離発着したり、線路の上を飛行したり、自治体が禁止している場所を飛行する場合です。
国土交通省から許可を得ているといっても、どこで飛行させて良いわけではありません。警察や自治体などに連絡し、必要な書類について問い合わせておくとよいでしょう。提出すべき書類に書式や、記入方法、提出先などを教えてくれます。
Q:ドローン撮影、許可がいるのはどんな場合ですか?また、許可申請をサポートいただけますか?
A:飛行場所や飛行方法により許可が必要になりますが、通常よく該当するのが、DID地区(人口集中地区)と30m未満の規定です。 DID地区は国土地理院のサイトで確認可能です。
30m未満とは第三者や第三者の物件(建物・車等)から30m未満の飛行を意味しますが、郊外の撮影であっても、30m未満の規定に該当する事は多いので、ほぼほぼ国交省の許可・承認が必要となります。
また、自治体により、独自の条例を設けている場合もあるため、国交省への申請とは別に許可申請が必要な場合があります。